シヴァナンダヨガ(シバナンダヨガ)とは、南インド出身のスワミ・シヴァナンダ氏によって創設された伝統的なヨガの流派です。
シヴァナンダヨガ(シバナンダヨガ)は、基本的には12個のポーズを行い、ポーズ同様に、2種類の呼吸、哲学(生活スタイル)やマントラも同等に重視します。
一つ一つのポーズの間に休憩(屍のポーズ)を挟むため、比較的初心者にも練習しやすいヨガのタイプです。
シヴァナンダヨガの特徴や効果、各地のスタジオを紹介します。
目次
シヴァナンダヨガとは
12のポーズを基本として行う
シヴァナンダヨガとは、12のポーズを基本シークエンスとして行います。
この12のポーズは、生徒のレベルによって、インストラクターがアレンジします。
「立位」、「座位」、「後屈」、「ねじり」、「逆転」をバランスよく組み合わせて行うため、いつも12のポーズでは飽きてしまうということはありません。
柔軟性と強さを養い、適切な呼吸を身に着け、瞑想へ近づくことができるようなポーズで成り立つのが理想とされています。
12のポーズ例
先に太陽礼拝を3〜5セットした後に、次のようなシークエンスを練習します。
順番 | ポーズの名前 |
---|---|
1 | シルシャーサナ(ヘッドスタンド) |
2 | サルヴァンガーサナ(ショルダースタンド) |
3 | ハーラーサナ(鋤のポーズ) |
4 | フィッシュポーズ(マッチヤーサナ) |
5 | パッチモッターナーサナ(長座の前屈) |
6 | ブジャンガーサナ(コブラ) |
7 | サラバーサナ(バッタのポーズ) |
8 | ダニュラーサナ(弓のポーズ) |
9 | アルダマッチェンドラーサナ(半分の魚の王のポーズ) |
10 | カカーサナ(カラスのポーズ) |
11 | パーダーハシュターサナ(親指を掴んだ立った前屈) |
12 | トリコナーサナ(三角のポーズ) |
シヴァナンダヨガでは、最初にヘッドスタンドを行います。
全身の血流が良くなり、この後のポーズがより効果的になると言われています。
12個のポーズは、それぞれ7つのチャクラのいずれかにバランスよく刺激を与えて活性化させるといわれています。
一つ一つの効果やチャクラへの効能を意識しながら行うと、より集中できるでしょう。
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それぞれのポーズの間にシャバーサナを挟む
シヴァナンダヨガでは、12個のポーズとポーズの間に、毎回シャバーサナ(屍のポーズ)を挟みます。
シャバーサナのポーズは、仰向けになって全身をリラックスさせる効果があり、前のポーズで使った身体を一度リセットするという意味があります。
一つのポーズのホールド(キープ)時間は5呼吸程度と長めです。
そのため、ポーズとしては12個ですが、毎回リラクゼーションを挟むため、全体の時間は90分が基本とされています。
毎回リラックスを挟むため、初心者や、体力に自身がないという方でも取り組みやすい流派です。
特有の太陽礼拝
シヴァナンダヨガの太陽礼拝は、通常の他のハタヨガの太陽礼拝とは違いがあります。
片足ずつの動作と、後屈(アーチバック)を含む動きが特徴的です。
シバナンダヨガの太陽礼拝のYoutube動画はこちらです。
初心者の方は、ポーズのイラストを見ながら順番を確認して行うのもおすすめです。
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一般的にヨガのクラスで行われる、太陽礼拝Aとの多きな違いの一つは、③の前屈ポーズから⑤のプランクの間に④の片足を後ろに引くポーズがある点です。
この後ろに引く足は、右と左とを交互に行います。
また、⑥の「8点のポーズ」もシヴァナンダヨガ独特の動きです。
体幹や腕の力に自信がない初心者やシニアの方でも取り組みやすい太陽礼拝です。
つま先・膝・胸・顎・両手の平・両足のつま先の8点をマットに一度つけた状態です。アシュタンガヨガやハタヨガでは、「チャトランガダンダーサナ」でコプラのポーズに繋げますが、シヴァナンダヨガは、8点のポーズからコブラに繋げます。
2種類の呼吸
シヴァナンダヨガでは、2つの呼吸法を基本として行います。
カパラパティ(火の呼吸)
カパラパティは、サンスクリット語で「光る頭蓋骨」と言う意味があり、別名で「火の呼吸」とも呼ばれる力強いやり方です。
心身の活性化が期待できますが、慣れるまではエネルギーも使うため、最初は指導者とともに行うのがおすすめです。
脳の活性化、リフレッシュ効果が高いと言われています。
最初は10呼吸くらいから初め、慣れたら長く行うようにしていきましょう。
・食後2-3時間は行わない
・呼吸器に不安のある方、妊娠中や整理中、高血圧の方は行わない
カパラパティ呼吸のやり方
① あぐらや、力を抜いた状態でいられる姿勢で座ります。
座る場合は、骨盤を床に対して垂直に立てます。
腰が曲がってしまう場合は、お尻の下にクッションなどを敷くとやりやすくなります。
② 鼻から深く息を吸い込みます。
③ 吐く息は、一気に力を入れながら鼻から息を吐き、お腹を凹ませます。
横隔膜の動き(お腹の動き)を意識しましょう。
片鼻呼吸(ナディショーダナ)
片鼻呼吸は、鼻呼吸の中でも片方の鼻を塞いで行う呼吸法です。
ナディーは「気の通り道」、ショーダナは「浄化」という意味があります。
左右の鼻の穴を交互に塞いで呼吸を行うことで、左右の「気」の流れを整え、自律神経のバランスをよくすることを目的としています。
自律神経を整え、免疫力を高める効果も期待できます。
また、気持ちが落ち着き不安感から解消されるなど、ストレス解消効果なども期待できます。
片鼻呼吸(ナディショーダナ)のやり方
① あぐらや、力を抜いた状態でいられる姿勢で座ります。(立った状態でも構いません)
座る場合は、骨盤を床に対して垂直に立てます。
腰が曲がってしまう場合は、お尻の下にクッションなどを敷くとやりやすくなります。
② 右手の人差し指と中指を折りたたんだ手の形(ヴィシュヌムドラー)を作ります。
③ 右手の親指を右の鼻に持っていき押え、薬指を左の鼻に持っていき軽く添えます。
④ まずは親指で右鼻を塞ぎ、左の鼻から息を吸います。同じ長さだけ、今度は左鼻を薬指で塞いで右鼻から吐き出します。
⑤ 次の吸う息は右鼻から吸い、吐く息は反対の左から吐き出します。
慣れたら、吸うと吐くの間に息を止める(クンバカ)を入て練習しましょう。
最初と最後のマントラ
シヴァナンダヨガでは、レッスンの最初と最後にマントラを唱えます。
覚えなければならないということではありません。
マントラのYoutube動画もありますので参考にしてみてください。
始まりのマントラ:ディヤーナ シュローカ(Dhyana Slokas)
<歌詞と読み方(発音の仕方)>
オーム オーム オーム
ガジャーナナン ブータガナーディ セービターム
カピッタ ジャンブー パラサーラ バクシタム
ウマースタン ショーカビナーシャ カーラナーム
ナマーミ ビグネシュワーラ パーラ パンカジャン
シャダーナナン クンクマ ラクタバールナーム
マハーマティン ディビーヤ マユーラ バーハナム
ルードゥラッシャー スルナム スラサインニャ ナーターム
グハン サダハム シャラナム プラパディエー
ヤー クンデンドゥ トゥシャーラ ハーラ ダバラー
ヤー シュブラ バストラブリター
ヤー ビーナ バラダンダ マンディタ カラー
ヤー シュヴェータ パドマーサナー
ヤー ブランマー チュータ シャンカラ プラブリティビー
デバーイ サダー プージター
サーマン パトゥ サラスワティー バガバティ
ニシェーシャ ジャディヤーパハー
オーム ナマー シバーヤ グラベー
サッチダーナンダー ムルタイェー
ニシプラパンチャーヤ シャンターヤ
スリ シヴァーナンダーヤ テー ナマハー
スリ ヴィシュヌデヴァーナンダーヤ テー ナマハー
オーム サルバ マンガラ マンガリイェー
シベー サルバータ サーディケー
シャランイェ トラヤンバケー ガウリ
ナーラーヤーニー ナモストゥテー
ナーラーヤニー ナモストゥテー
オーム
サハナーナーババトゥ サハナウボナトゥ
サハヴィヴィヤンカラヴァーヴァへー
テージャスヴィナサマストゥ
オーム
シャーンティ シャーンティ シャーンティ
※サンスクリット語をカタカナで表記しています。
若干の読み方の違いはご了承ください。
終わりのマントラ:マハムリチュンジャヤマントラ(Mahamrityunjaya Mantra)
<歌詞と読み方(発音の仕方)>
オーム トリャンバカム ヤジャーマヘ
スガンディン プシュティ バルダナム
ウルバールカミバ バンダナーム
ムリティヨー ムクシーヤマームリター
オーム サルベーシャーン スワスティエ ババトゥ
サルベーシャーン シャンティエ ババトゥ
サルベーシャーン プーナム ババトゥ
サルベーシャーン マンガラン ババトゥ
サルベー ババントゥ スキナー
サルベー サントゥ ニラーマヤー
サルベー バットラニ パッシャントゥ
マー カスチッ ドゥカバー バベー
アサトーマー サッガマヤ
タマソーマー ジョーティル ガマヤ
ムリティヨー マー アムリタン ガマヤ
オーム プーナマダ プーナミダン
プーナー プーナムダッチャテ
プーナッシャ プーナマーダーヤ
プーナメーバーバ シッシャテー
オーム シャーンティ シャーンティ シャーンティ
参考記事
ヨガのマントラとは?オームやシャンティの違いなどを徹底解説!
シヴァナンダヨガの効果・効能
他のヨガと同様、心身へのメリットが期待できます。
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- 柔軟性のアップ
- 呼吸法からポーズの基本を学べる
- 精神的なリラックス効果が高い
- 集中力のアップ
- 食事やアーユルヴェーダなどライフスタイルを見直すことができる
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シヴァナンダヨガは、太陽礼拝で全身を活性化させ、12の基本ポーズと呼吸で、ヨガの基本を学ぶことができます。
一つ一つのポーズのキープ時間が長くゆったりとした動きのため、ヨガ初心者や身体が硬い方、体力に自信のない方でも安心して始めやすい流派です。
歴史と哲学
発祥や、哲学についても紹介します。
シヴァナンダヨガ哲学とは
シヴァナンダヨガは、生活の仕方などにも大きく5つの原則に沿って行われます。
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- 呼吸:プラナヤーマ(Pranayama)
- 運動: アーサナ(ポーズ)
- リラックス: シャヴァ―サナ(Savasana)
- 食事: ヴェジタリアン、アーユルヴェーダの食事に添った食べ物
- ポジティブ思考と瞑想
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ポーズを極めて瞑想をすることに留まらず、食事や思想など、ライフスタイル全体を健康に、よりよくしようという流派です。
そのため、ポーズができなくても、食事にアーユルヴェーダの知識を取り入れたりと、実践しやすいのも、他のヨガとの違いです。
生活習慣に取り入れられやすいため、「宗教」のように感じるという方もいますが、心身によい食事法などを紹介している流派の一つと言えるでしょう。
創設者のスワミ・シヴァナンダ氏とはどんな人?
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1887に南インドに生まれ、西洋医学の医師として働いていました。
その後ヨガに出会い、より多くの人をヨガによって助けたいという思いから、ヨガの聖地である北インドのリシケシに渡り、10年の修行を積みました。
リシュケシュには、スワミ・シヴァナンダが設立したシバナンダ・アシュラムとフォレスト・アカデミーというヨガの総合大学が現在でもあります。
1957年に彼は、弟子のひとりである Swami Vishudevananda(スワミ・ヴィシュヌヴァナンダ)をアメリカに派遣し、国際シヴァナンダヴェーダンダセンター( International Sivananda Yoga Vedanta Centers (SYVC)を設立しました。
スワミ・シヴァナンダ氏は、200以上のヨガについてや哲学についての本を執筆し、その知識を広めています。
シヴァナンダヨガ哲学は6つの言葉でよく言い表されます。
Serve, Love, Give, Purify, Meditate, Realize.
奉仕、愛、与えること、清らかなこと、瞑想、気づき
シヴァナンダヨガは、身体の柔軟性や筋力だけではなく、精神的な浄化やリラックス、瞑想を目的としていることが良く分かります。
各地のシヴァナンダヨガが受けられるヨガスタジオ
日本には、シヴァナンダヨガが受けられるスタジオが多くありますので、いくつか紹介します。
東京のスタジオ
NPO法人 シヴァーナンダ・ヨーガ・ヴェーダーンタ・センター
NPO法人 シヴァーナンダ・ヨーガ・ヴェーダーンタ・センターでは、様々なプログラムを開催しています。
現在はオンラインでじっくり落ち着いて学べますので、ぜひサイトをご覧になってみてください。
アクセス | 東京都杉並区高円寺北4丁目15−3 |
サイト | https://sivananda.jp/ |
大阪のスタジオ
スピリットヨガ(Spirit Yoga Studio)
ヨガインストラクターを養成するスクールが運営するヨガスタジオで、シヴァナンダヨガのレッスンも受けられます。
他のヨガの種類なども豊富なため、シヴァナンダヨガの時間は確認をしましょう。
アクセス | 京都渋谷区代々木 1-53-4 |
サイト | http://www.spirityogastudio.com/ |
シヴァナンダヨガはこんな方におすすめ!
シヴァナンダヨガは、毎回リラックス(シャヴァーサナ:屍のポーズ)を挟むため、初心者や体力に自信のない方にもおすすめです。
ヘッドスタンドを最初に行うのが基本ですが、できなくても構いません。
全身をくまなく使える12のポーズをゆっくり練習することができます。
マントラは、唱えないスタジオも多くありますので、苦手な方でも安心です。
ヨガで適度に体を動かしながらも、瞑想やリラクゼーション、ストレス解消効果を得たい方は、ぜひ体験してみましょう!
シヴァナンダヨガについて、こちらの本もおすすめです。
よくある質問
②自律神経を整える働きがあると言われる方鼻呼吸の「ナディショーダナ」です。
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