ヨガの「ナディー(ナディ)」とは、ヨガの生命エネルギーと呼吸(プラーナ)の通り道を意味し、チャクラを繋ぐものだと考えられています。
この「ナディー」は特に「スシュムナー」「イダー」「ピンガラ」の三つが大きなものだとされています。
それぞれの役割や効果などを詳しく解説します。
ナディとは
ヨガにおいてナディとは、プラーナ(生命エネルギー)の通り道、流れ、そしてチャクラとチャクラをつなぐものと考えられています。
血管をはじめとする、目に見えるナディと、エネルギーが通る目に見えないナディがあると言われ、古代のインドでは、人間の身体の中には72,000のナディーが通っていると考えられています。
古代中国の医学では「経絡」が、血液や栄養素、酸素などの人間に必要なものを運ぶ通り道として考えられていました。
当時インドには「経絡」という言葉はありませんでしたが、「ナディ」と「経絡」は考え方としては似ており、たくさんあるナディーの一つともいえます。
72,000もあるナディの中でも、次の3つのナディが代表的なものです。
この三本の管は、人間に7つあると考えられているチャクラの、1番下の「ムーラダーラチャクラ」から1番上に位置する、「サハスラーラチャクラ」まで、全てのチャクラを繋いでいると言われています。
スシュムナーを中心に、イダーとピンガラが、交差をしながら下から上に流れていると言われ、交差しているイダーとピンガラーのバランスが取れた時にスシュムナーが活性化されます。
イダーの特徴
イダーとは、左側の鼻腔を通るナディーです。
女性的で、月を象徴します。
直感、感情などを調整する役割があるとされています。
副交感神経が優位になったときに、イダーのエネルギー効果が強くなり、通りがよくなると考えられています。
瞑想などの安定した静的行動を行うときに適したエネルギーです。
ピンガラーの特徴
ピンガラーは、右側の鼻腔を通るナディーです。
男性的で太陽を象徴します。
活動的で強いエネルギーのため、交感神経が優位になったときに通りがよくなると考えられています。
論理的、活動的な行動を行うときに優位なエネルギーです。
スシュムナー
スシュムナーは、7つのチャクラの一番下にある「ムーラダーラチャクラ」から1番上にある「サハスラーラチャクラ」まで、脊椎を下から上にまっすぐに通るナディーです。
このスシュムナーを中心に、イダーとピンガラーが螺旋を描くように交差しながら身体の上方に向かっていると考えられています。
イダーとピンガラーの流れのバランスが整うと、スシュムナーが活性化され、中心にエネルギー、特にクンダリーニ(根本のエネルギー)が通るとされています。
左右のバランスが大切
左右のナディーを通るエネルギーのバランスが取れたときに、中心のスシュムナーナディーにクンダリーニという根本の強いエネルギーが通ります。
このクンダリーニが下から上に通る際に、各チャクラは刺激され、チャクラが開いた状態になると言われています。
しかし人間は、常に両方の鼻の穴から均等に呼吸はしていません。
90分間隔で左右のどちらかの鼻の穴から強く呼吸をしています。
左の鼻の穴からの呼吸が優位であれば、イダーが優位であり、静的な行動に適した90分です。
右の鼻の穴からの呼吸が優位であれば、ピンガラが優位であり、動的な行動に適した90分になります。
この左右の間隔のバランスが取れている状態が、「エネルギーのバランスがとれた状態」と考えられています。
食事をするには、できるだけピンガラが優位の時間が望ましいともいわれています。
そして寝る時間には、副交感神経が働いているときのイダーが優位になったときが適しているとも考えられています。
感覚は個人差がありますが、バランスよく交互にナディーを通るエネルギーが保たれているかチェックする方法と言えます。
ナディのバランスを整える呼吸法「ナディショーダナ」
ヨガの呼吸法の一つに「ナディショーダナ」という方鼻の呼吸法(プラナヤーマ)があります。
人差し指と中指を写真のように折りたたみ、親指で右の鼻・薬指で左の鼻をふさぎ、片鼻ずつ呼吸をするという方法です。
「ショーダナ」は「浄化」という意味があります。
片方ずつ同じように呼吸を繰り返すことで、左右の呼吸量を調整し、浄化して左右のナディのバランスを整える意味があり、「ナディクレンジング」と呼ばれることもあります。
片鼻呼吸(ナディショーダナ)の効果
自律神経を整え、免疫力を高める効果も期待できます。
また、気持ちが落ち着き不安感から解消されるなど、ストレス解消効果なども期待できます。
片鼻呼吸(ナディショーダナ)のやり方
- STEP1楽な姿勢で座るあぐらや、力を抜いた状態でいられる姿勢で座ります。(立った状態でも構いません)
座る場合は、骨盤を床に対して垂直に立てます。
腰が曲がってしまう場合は、お尻の下にクッションなどを敷くとやりやすくなります。
- STEP2手の準備
右手の人差し指と中指を折りたたんだ手の形(ヴィシュヌムドラー)を作ります。
- STEP3手で鼻を抑える右手の親指を右の鼻に持っていき押え、薬指を左の鼻に持っていき軽く添えます。
- STEP4吸うまずは親指で右鼻を塞ぎ、左の鼻から息を吸います。同じ長さだけ、今度は左鼻を薬指で塞いで右鼻から吐き出します。
- STEP5吐く次の吸う息は右鼻から吸い、吐く息は反対の左から吐き出します。
慣れたら、吸うと吐くの間に息を止める(クンバカ)を入れて練習しましょう。
やり方動画
参考↓
頻度や時間
自律神経の乱れを整える効果があるため、頻度に決まりはありません。
疲労を感じた時や夜寝る前などに行うことで、自律神経が整い、安眠効果などが期待できます。
ナディーを気にして過ごしてみよう
ナディーとは、身体に通るエネルギーの通り道です。
ナディや経絡の考え方は、ヨガのポーズにも影響を与え、特に「陰ヨガ」とは強いつながりがあります。
これは古代インドのヨガ哲学的な考え方であり、現代の西洋医学や科学的な裏付けはありません。
しかし、他の古代医学の考え方や経絡などと同様に、様々な点で現代と古代は共通点もあります。
イダーと副交感神経の関係、ピンガラーと交感神経の関係など、とても分かりやすい例です。
何千年も昔からこのような身体の深い部分、神経系の考えがあったことにも驚きます。
イダーやピンガラーなどのナディーについては、ヨガインストラクターになる方は、養成スクールの教科書に出てくる言葉です。
ぜひ興味があれば、より深くヨガ哲学を知って、ヨガの考え方や歴史についても学んでみてくださいね。
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