「なんで私はあの人みたいにできないんだろう」
「どうしてあの人はあんなこともできないんだろう」
そんなふうに、誰かと自分を比べたり、誰かに「自分の基準」を押しつけたくなることはありませんか?
ヨガ哲学では、そんな迷いやイライラに向き合うヒントとして、スヴァダルマ(Svadharma)という考え方があります。
それは「自分の道を生きる」という、とてもシンプルで深い教えです。
スヴァダルマとは?

スヴァダルマとは、サンスクリット語で「スヴァ(自分自身の)」+「ダルマ(義務・本分・役割)」という言葉の組み合わせです。
つまり、「自分に与えられた役割や道」という意味になります。
この考え方は、ヨガの聖典『バガヴァッド・ギーター』の中で語られています。
「たとえ不完全であっても、自分自身のダルマを実践するほうが、他人のダルマを完璧にこなすより尊い」
ーバガヴァッド・ギーター 第3章 第35節
他人と同じようにできなくてもいい。
むしろ、他人の生き方を真似するより、自分のペースややり方で道を歩む方が、ずっと意味のあることなのだと教えてくれています。
他人と比べてしまう日々

SNS、職場、家庭。どこにいても「比べる材料」は溢れています。
誰かの成果、見た目、ライフスタイル、性格……どうしても他人が気になってしまうのは、ごく自然なことです。
でも、スヴァダルマの考え方は、そうした「他人のものさし」から自分を解放してくれます。
なぜなら、その人にはその人の人生の道があるし、自分には自分の道があるからです。
同じ状況でも、与えられた課題や役割は人によって違う。
だから比べたところで、本質的にはまったく意味がないのです。
自分のスヴァダルマって、どうやって見つけるの?

「自分に与えられた道なんて、そんな特別なもの持ってないよ」
そう思う人もいるかもしれません。
でも、スヴァダルマは「今の自分にできること・任されていること」そのものを指します
特別な才能や使命じゃなくていいんです。
たとえば、あなたが今子育てをしているのなら、 今は「育てる」というダルマ。
職場でサポート業務を任されているなら、「支える」というダルマ。
あなたが誰かの話を聞くことが多い人であれば、それはきっと 「人に寄り添う」というダルマ。
どれも目立つことではないかもしれませんが、今この時、間違いなくその人にしかできない役割です。
「自分にはこれしかできない」ではなく、「これを今任されている」と見つめ直すだけで、気持ちが変わってくるのではないでしょうか。
スヴァダルマを生きると、なぜ心がラクになるのか

他人と比べてばかりいると、いつも焦っていたり、モヤモヤしたり、自分を責めたりしてしまいがちになりませんか?
でも、自分のダルマに目を向けると、自然と気持ちが内側に落ち着いていきます。
「あの人はあの人、自分は自分」と思えるだけで、必要以上に他人の目を気にせずにいられる。
すると、行動のペースも気持ちも、自分にとってちょうどいいリズムになっていくのです。
努力することはもちろん大切です。
でも、それは「誰かになるため」じゃなくて、「自分のダルマを丁寧に果たすため」でいいのだと思います。
サントーシャとのつながり

今回ご紹介しているスヴァダルマの教えは、「自分の道を生きることの大切さ」を伝えるものです。

その一方、上記の記事でお話しているヨガ哲学の「サントーシャ(知足)」は、
「今あるものに目を向けて、満足する心を育てる」という教えです。
このふたつの考え方には、共通点があります。
どちらも、「他人と比べるのではなく、自分自身の内側に目を向ける」ことを大切にしているのです。
自分の役割に集中し、今あるものに感謝する。
この2つの哲学が合わさることで、より穏やかで、自分らしい生き方に近づけるのではないでしょうか。
まとめ

「自分にできることを、不完全でもいいからやる」。
それが、スヴァダルマの実践です。
他人の道を生きる必要なんてありません。
今、自分に与えられていることを、ひとつずつ丁寧にこなしていくこと。
それが、ヨガ哲学の言う「自分らしく生きる」ということなのかもしれません。
他人をうらやむ代わりに、「今の自分に任されていることは何か?」と問いかけてみる。
その視点の切り替えが、毎日を静かに整えてくれるはずです。



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