ヨガ哲学

「足りない」ばかりじゃ疲れてしまう。ヨガ哲学に学ぶ「足るを知る」暮らし(サントーシャ)

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「もっとお金が欲しい」「もっと充実した毎日を送りたい」「もっと綺麗になりたい」。

そんなふうに、足りないものにばかり目が向いてしまうこと、ありませんか?

私たちは日々、多くの情報や刺激に囲まれて、「今のままじゃ足りない」「もっと手に入れなきゃ」と焦りがちです。

しかし、ヨガ哲学には「今あるものに満足する」という考え方があります。

それが「サントーシャ(Santosha)」という教えです。

この記事では、ヨガ哲学のサントーシャについて、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。

足るを知ることで心が軽くなり、日々の暮らしが少し豊かになる。そんなヒントを、ぜひ持ち帰っていただけたら嬉しいです。

サントーシャ(知足)とは?

サントーシャとは、サンスクリット語で「満足・感謝・足るを知る」という意味を持つ言葉です。

ヨガの教典『ヨガ・スートラ』では、「ニヤマ(行うべき習慣)」のひとつとして紹介されており、ヨガを深めるために欠かせない大切な教えとされています。

「サントーシャ(知足)を実践することで、比類なき喜びが得られる」

ーパタンジャリ『ヨガ・スートラ』より
(原文:Santosha anuttamah sukha labhah)

この言葉が示すように、満足する心は、何かを「得る」ことではなく、「気づく」ことで育っていくものなのです。

ここで言う「満足」は、諦めることを意味するわけではありません。

「現状に甘んじる」のではなく、「今あるものをしっかり見つめ、受け入れる姿勢」を意味しています。

現代社会では、「もっと上を目指そう」「成長し続けよう」といったメッセージが溢れています。

もちろん、それは素晴らしいことです。

しかし、それだけに偏ってしまうと、私たちは常に「自分にはまだ足りない」と感じるようになってしまいます。

サントーシャは、そんな『終わりなき不足感』から自分自身を解放してくれる哲学でもあるのです。

 

足りないものばかりを探す暮らし

ヨガをする女性

SNSを開けば、友人のキラキラした日常や、インフルエンサーたちの理想的なライフスタイルが目に飛び込んできます。

テレビやネットでは、「これを買えばさらによくなる」「このスキルを身につければ成功できる」といった情報が溢れています。

こうした情報に触れているうちに、無意識のうちに「今の自分では不十分だ」「もっと何かが必要だ」と思い込んでしまうのではないでしょうか。

 

でも、ふと立ち止まって考えてみてください。

今の自分が持っているもの、すでに手にしている環境、それらをちゃんと見つめ直したことはありますか?

そして、自分に対してだけではありません。

他人や家族に対しても「もっと、もっと」「不十分だ」と求めてしまうことで、自分の心を乱し、相手の心をも乱そうとしてしまうことはありませんか?

 

例えば、毎日食べられるごはんがあること。
ちゃんと眠れる布団があること。
話を聞いてくれる友人がいること。
自分のために何かをしてくれる家族がいること。

それらはすべて、当たり前ではない、ありがたいものです。

 

サントーシャは、こうした「すでにある幸せ」に気づき、それを味わう力を養うための教えでもあります。

断捨離、ミニマリスト、丁寧な暮らし。こういった最近の流行りも、今持っているものを見つめ直すという点で、サントーシャの考え方と重なる部分があるのかもしれませんね。

 

サントーシャ的な暮らしのヒント

では、実際の暮らしの中で、どのようにサントーシャを実践していけばよいのでしょうか?

難しいことをする必要はありません。

ちょっとした意識の持ち方で、十分に始めることができます。

1. 朝起きた瞬間、「ありがとう」と言ってみる

目が覚めた瞬間、「今日も起きられたな、ありがたいな」と感じること。

それだけで、1日のスタートが穏やかなものになります。

起きてすぐから「疲れた~」「体が痛い」なんて口に出して始まる1日より、ずっと素敵なはず。

 

2. 食事のときに「おいしい」に集中する

スマホをいったん置いて、食事に集中してみましょう。

「このスープ、あったかくてホッとするな」「このお米、ちゃんと甘いな」

そんな小さな感動が、満たされた気持ちにつながります。

 

3. 「今日よかったこと」を1日1つ見つける

寝る前に、「今日はこんなことが嬉しかったな」と振り返る習慣をつけてみてください。

どんなに忙しくても、小さな喜びを見つけることはできます。

この習慣は、自己肯定感を高める大きな力になってくれることでしょう。

 

4. 不満を感じたら、「ありがたいこと」にも目を向けてみる

何かに対して不満を感じたとき、そのまま自分の中に溜め込んでしまう前に、今すでにある「いいところ」をひとつ探してみてください。

たとえば「家事を手伝ってくれない」と思ったときに「でも、毎日まじめに仕事に取り組んでくれている」と気づけたら、少しだけ心が柔らかくなるかもしれません。

 

人によって、考え方も視点も違えば、得意なこと・できることもそれぞれ違います。

その人なりの一日があって、その人なりの思いがあって、その中でがんばってくれている。

そう想像するだけでも、自分の気持ちが少し落ち着いてくるはずです。

「足りない」と感じた瞬間に、「すでにあるもの」をひとつだけ思い出してみる。

サントーシャの実践は、そんな小さな視点の切り替えから始まります。

 

サントーシャは「諦め」や「妥協」ではない

ここまで読んで、「満足しなさいってことは、向上心を捨てなさいってこと?」と思った方もいるかもしれません。

でも、サントーシャの考え方は、決して諦めや妥協ではありません。

今の自分に感謝しながらも、より良い未来を目指して努力することは、矛盾していません。

むしろ「今の自分にはすでに価値がある」と認めることで、前向きなエネルギーが自然と湧いてくるのです。

サントーシャは、「現実を受け入れつつも、必要な変化にはオープンでいよう」という、柔軟で優しい生き方の哲学です。

「足るを知る者は富み、強めて行う者は志有り」
ー老子『道徳経』

この言葉のように、自分に満足しながらも、必要なときには前へ進む意志を持つ。

それが、サントーシャの示す生き方です。

 

おわりに

朝日を浴びながらヨガをする女性

私たちはつい、「もっと、もっと」と求めてしまいがちです。

でも、ほんの少し立ち止まって、「今あるもの」を見つめてみてください。

サントーシャの考え方は、そんな瞬間にこそ、心にしみ込んでくるものです。

「足るを知る者は富めり」
ー仏教の言葉(知足者富)

この言葉が教えてくれるのは、豊かさとは物の多さではなく、心の在り方によって決まるということです。

サントーシャはまさにその「内なる豊かさ」を育てる実践でもあります。

今の暮らしの中で、小さな満足や感謝を積み重ねていくこと。

それは決して「何も変えずに我慢しなさい」という意味ではなく、「変わる前に、まず今を味わってみよう」という優しい提案です。

あなたの毎日が、少しでも穏やかで心地よいものになりますように。

ヨガ哲学のサントーシャが、そのヒントになるかもしれません。

 

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