香水にもよく使われる「ベチバー」は、熱帯・亜熱帯地方で栽培される多年草の根から採取される精油です。
重く落ち着いた香りを持ち、グラウンディング(地に足をつける)作用や鎮静作用によって、ストレスや不安をやわらげ、疲れた心を静めてくれる働きがあります。
また、ベチバーのアロマは揮発しにくく、香水では香りを長く留めるための保留剤(フィクサー)として使われています。
ここでは、ベチバーの効果・効能や、相性の良いブレンド、おすすめの使い方などを紹介します。
ベチバーとは

| 項目 | 特徴 |
| 名前 | ベチバー、Vetiver(英語) Vetiveria zizanoides/Chrysopogon zizanioides(学名) |
| 科名・属名 | イネ科 ベチベル属 |
| 抽出部位 | 根(根茎) |
| 抽出方法 | 水蒸気蒸留法 |
| 香りの特徴 | 土っぽい・スモーキー・ウッディ・温かみ |
| 香りの持続性・揮発速度 | ベースノート(数時間〜1日程度) |
| 効果 | 鎮静・ストレス緩和・集中力アップ・安眠・皮膚再生・デオドラント作用 |
| 禁忌 | 妊娠初期や3歳未満の乳幼児、授乳中は使用を避ける/濃度を高くしない/香りが強いため少量から |
| 相性の良いブレンド | 柑橘系(ベルガモット・オレンジ)・フローラル(ラベンダー・ゼラニウム)・ウッド系(サンダルウッド・シダーウッド) |
ベチバーはインドやインドネシア、ハイチなどで広く栽培されています。
特にハイチ産は高品質とされ、香水原料として世界的に需要があります。
地中深くまで根を張る植物で、その力強さから「大地の香り」とも呼ばれます。
高級感のある重厚なベースノートとして、シャネルNo.5などをはじめとした数多くの香水にも使用されていますよ。
なお、ベチバーはイネ科の植物のため、イネ科アレルギーのある方は注意してください。
・揮発速度が早く、最初の印象となる「トップノート」
・中間の速度で香り、ブレンドした時の中心の香り「ミドルノート」
・揮発速度が遅く、余韻のある香りとなる「ベースノート」
の3つに分けられます。
香りの特徴
ベチバーの香りは、湿った土を思わせるような深みのあるウッディ系。
重くスモーキーな香りの中に、どこか甘さや温かみも感じられます。
主成分はベチベロールやクスゼノールといったセスキテルペン系成分で、心を落ち着ける鎮静作用があるといわれています。
ブレンドの際は他の精油を引き立てる「ベースノート」として使うのがポイントです。
ベチバーの効果・効能

- ストレス緩和・リラックス効果
- 集中力アップ・グラウンディング
- 安眠・不眠対策
- 肌の再生促進・保湿
- 体臭・加齢臭などの消臭効果
ストレスを和らげる鎮静作用
ベチバーは自律神経を整え、神経の高ぶりを鎮める働きがあるといわれています。
仕事や人間関係で心が疲れたときに、深い呼吸を促してくれる香りです。
集中力を高める・グラウンディング
重心を下げるような安定感のある香りは、瞑想やヨガ、勉強前にもおすすめ。
「頭が散らかっている」ときに、思考を整理してくれるサポートアロマです。
肌や体のケアにも
皮膚再生作用があるといわれ、乾燥肌・荒れ肌のケアにも◎
また、デオドラントやルームスプレーとして使えば、さわやかで落ち着いた空間を作れます。
天然の防虫・消臭にも
ベチバーの根には、虫が嫌う成分(ベチベロールなど)が含まれており、昔から害虫除けとしても利用されてきました。
インドやスリランカでは、乾燥させたベチバーの根を束ねて玄関や窓辺に吊るす「ベチバー・マット」が今でも使われているんですよ。
市販の防虫剤のような刺激臭がないため、ナチュラル志向の虫除けとして人気です。
夏場のリネンスプレーや網戸スプレーに少量加えると、防臭+防虫のW効果が期待できます。
ベチバーとパチュリの違い
どちらも重厚でアーシーな香りですが、
パチュリは甘く濃厚でオリエンタル寄り、
ベチバーはスモーキーでより「土」っぽくドライ。
男性用香水やウッド系ブレンドに使われることが多いのがベチバーです。

ベチバーの禁忌と注意点
ベチバーは香りが非常に強いため、少量から試すことが大切です。
アロマバスに使いたい場合は、乳化剤を使用するか、芳香浴としてバスルームの四隅にオイルを垂らすなどの使い方がおすすめです。
また、妊娠初期や敏感肌の方は使用を避けましょう。
- 妊娠初期の使用は避ける
- 肌への原液塗布は避ける
- 香りが強いため、換気を意識して使う
ベチバーは精油の特性上、粘性が高いオイルです。
滴下するまでに時間がかかりますので、むやみに振って出そうとせず、ゆっくり気長に1滴ずつ落とすようにしましょう。
相性の良いブレンドと使い方

ベチバーはベースノートとして、香りをまとめる役割を果たします。
明るい柑橘系とブレンドすると香りに奥行きが生まれ、ラベンダーやゼラニウムと合わせると、穏やかで上品な印象に。
おすすめの使い方

ディフューザーでの芳香浴や、寝室でのリネンスプレーにおすすめ。
また、集中したいときには、デスク周りに軽くスプレーするのも効果的です。
ベチバースプレーの作り方
・水:45ml
・エタノール:5ml
・ベチバーアロマオイル:5〜10滴
- STEP1水を入れるスプレータイプの遮光瓶に精製水を45ml入れます。
- STEP2材料を混ぜる無水エタノールを5ml、ベチバーオイルを5〜10滴ほど入れます。
- STEP3出来上がりよく振って完成です。使用前にも軽く振ってから使いましょう。
リネンや寝具、デスク周りなどに使うと、心がスッと落ち着きます。
他の香りの持続を高めたいときにも、他のアロマオイルに1滴だけブレンドするのがおすすめ。
また、ベチバーには虫が嫌う成分も含まれており、網戸や玄関周りにスプレーしておくと
蚊や害虫対策にもなります。
防虫剤特有の刺激がないため、ご家庭でも使いやすい天然の虫除けです。
おすすめ商品
ベチバーオイルは、エッセンシャルオイル専門店やアロマショップ、無印良品などでも購入できます。
生活の木
100%天然精油で自然の香りにこだわる、生活の木。
スタンダードなベチバーの香りを楽しめます。
ブレンドに1滴たらすだけで、奥行きと深みのある香りになりますよ。
インセントエッセンシャルオイル
AMAZONで購入できる、AEAJ表示基準適合認定の精油です。
5mlという少量から購入できるので、まずはお試しにおすすめ。
まとめ

| 項目 | 特徴 |
| 名前 | ベチバー、Vetiver(英語) Vetiveria zizanoides/Chrysopogon zizanioides(学名) |
| 科名・属名 | イネ科 ベチベル属 |
| 抽出部位 | 根(根茎) |
| 抽出方法 | 水蒸気蒸留法 |
| 香りの特徴 | 土っぽい・スモーキー・ウッディ・温かみ |
| 香りの持続性・揮発速度 | ベースノート(数時間〜1日程度) |
| 効果 | 鎮静・ストレス緩和・集中力アップ・安眠・皮膚再生 |
| 禁忌 | 妊娠初期の使用を避ける/香りが強いため少量から |
| 相性の良いブレンド | 柑橘系・フローラル系・ウッド系 |
単体ではあまり使ったことがない人も多いこの「ベチバー」、
「大地を感じる香り」とも呼ばれるほど、心を安定させるパワーを持ちます。
深くゆっくり呼吸したいとき、眠れない夜、心がざわつくときにそっと寄り添ってくれます。
香りを長く楽しみたい方、重めのウッド・スモーキー系が好きな方におすすめです。
よくある質問






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